2009年4月11日(土)、12日(日)
陣馬の桜、青根の桜

目的地 陣馬街道、緑の休暇村青根
ルート
1日目 :  環七 → 国道20号 → 都道521号(陣馬街道) → 県道522号 → 県道76号 →
「緑の休暇村青根キャンプ場」→「やすらぎの湯」→ 県道76号(コンビニ、GS)→ キャンプ場(122km)
2日目 :  県道76号 → 国道413号 → 国道16号 → 都道20号 → 中央高速(国立府中〜高井戸)→
国道20号 → 環七(85km)
走行距離 207km

花は桜木、人は武士。
と言われる程、日本人にとって桜は特別な花だ。それは、年に一度咲き誇って春を告げるからであり、わずか一週間かそこらではかなく舞い散るからだ。上品で可憐で、美しくもはかない。
桜の花びらが静かに舞い落ちる様の美しさは、本来日本人が持つ謙虚さ、奥ゆかしさと言ったものと共鳴するのではあるまいか。

もはや関東地方は春たけなわ。関東南部に至っては、既に桜の満開時期を越えている。我が家の近所の桜も散り始め、葉桜となりつつある。と言うことはだ。今週末を逃したら、近場で桜を眺めるツーリングは困難だってことだ。で、俺はインターネットで調べた。すると神奈川県の「緑の休暇村青根キャンプ場」は、サイトの桜がなかなかきれいらしいということが分かった。
幸い今週末は休日出勤がない。俺は陣馬街道を超え、道志川沿いの「緑の休暇村青根キャンプ場」で一泊して帰って来るという、名づけて「近場の桜ツーリング・アーンド・キャンプ」を計画し、実行に移したのであった。


朝5時。
俺は「うわあ!」となって携帯をほっぽり投げた。というのも、そろそろ起きる時間かなあと思って携帯を手に取った正にそのとき、アラームが鳴ってバイブが作動したからだ。これにはさすがの俺もビックリ仰天だ。結果、携帯はアラームを鳴らしながら放物線を描いて落下し、床の上でガーッ、ガーッと振動した。俺は焦って携帯を拾い、アラームを停止した。おかげでしっかりと目が覚めた。(相変わらずどうでもいい話だな)

身支度と荷物の積載を6時30分頃完了。この一週間は好天が続き、気温も高めだったが、今日はさらに気温があがると言う。俺は悩んだ末、ユニクロのエアテックパンツを穿き、Tシャツ、長袖Tシャツの上に革ジャンを羽織った。寒さを感じたときの為に、ウィンドストップインナージャケットをバッグに押し込んで出発した。

環七から国道20号を右折。時間が通勤時間帯に掛かっているので混雑を懸念したが、思いの他順調にんだ。環八の手前、国道20号と久我山方面の分岐を、ぼんやりして久我山方面に進んでしまった。しょうがないから東八道路で府中方面に進み、多磨霊園の辺りでガストに入って朝食をとったのだった。

東八道路から小金井街道を通って国道20号に出た。国道20号は、右折した瞬間から混雑していた。間違えて東八道路を通って来たわけだが、国道20号で来るよりより結果的に早かったのではないか。高井戸から府中方面に向かうには、次回から東八道路を使うべきかもしれない。

日野バイパスを進み、国道16号を超えて陣馬街道の分岐を右に入った。
中央高速と圏央道の高架をくぐると、陣馬街道は市街地を外れて山間の道となり、交通量が激減した。田舎道の雰囲気を味わいながら気持ちよく走っていると、道の左側に「夕やけ小やけ文化農園」の駐車場が見えた。なんだか分からんが、俺はCB400SSを駐車場に入れ、トイレを済ませて一服した。敷地内には立派な桜の木が何本も植えられていて、美しく咲いていた。

「夕やけ小やけ文化農園」を後にして、醍醐林道方面に進んでしまったが(醍醐林道方面が直進なのだ。しかも何の標識もない) 、林道が通行止めになっていたので間違えたことに気づいた。俺はせまい道を、かみさんゆずりのテケテケターンを用いて引き返し、改めて陣馬街道を進んだのだった。

道は和田峠に向けて、登りのクネクネ道になってきた。しかもかなり狭い。俺はコーナーのミラーで注意深く対抗車の確認をしつつ、安全運転で進んだ。
和田峠に近づくと、陣馬山に登ると思われるハイカーが沢山歩いていた。

和田峠を越えて神奈川県に入ると、道は下りのクネクネ道となった。俺は慎重に、針葉樹に囲まれた山道を下りて行った。

陣馬自然公園センターを超えて、県道521号と県道522号の分岐を、左の県道522号にに入る。沢井トンネルを越え、国道20号を左折し、直ぐに右折して県道76号に入った。陣馬街道にはツーリングのバイクはいなかったが、県道76号には何台もソロのライダーや、ツーリンググループが走っていた。思うに、国道20号から県道76号を抜けて、道志道に出るのだろう。

日連大橋を渡って相模川を超えると、左側に「まつば」って言うスーパーがある。このことは事前のインターネット調査でリサーチ済みだ。俺はCB400SSをスーバーの駐車場に入れた。キャンプのお買い物だ。

鶏もも肉、玉ねぎ、ジャッキーカルパス、トマトジュース、缶コーヒーを購入して店を出た。スーパーを出て数百メートル走ると右にあるスリーエフで、今日の昼食用のカップヌードルとおにぎり、明日の朝食用にパンを購入した。

県道76号の両側には桜の木が沢山あり、場所によっては薄桃色の回廊を形作っている。ときおり強い風が吹くと梢がゆれ、大量の花びらがはらはらと舞う。俺はその中を進んだ。

道志ダムを越えると、すぐ左に「緑の休暇村」の看板があった。俺は看板にしたがって、キャンプ場に向かう坂道を降りていった。同じ敷地内の入浴施設「いやしの湯」を超えて右に曲がると、すぐにキャンプ場の受付があった。

午後12時5分。出発から101km走って本日の宿営地、「緑の休暇村青根キャンプ場」に到着だ。5時間30分で100kmしか移動していない訳だが、遊びながらのんびり走って来たから、まあこんなもんだ。

受付で「バイクでキャンプなんですけど」と声を掛けると、管理人さんは何故か怒ったような顔で、「これに記入して下さい」と言って宿泊者カードを差し出した。なんだか怖い。俺はそそくさと記入してカードを渡し、消費税込みで1,365円払って入場したのであった。

場内に進むと、目論見どおり桜が美しく咲き誇っていた。そして、これも予想通りだが、キャンパーが沢山既に設営していた。ここのキャンプ場は午前8時から入場できるのだ。

俺はCB400SSを停めて場内を歩き回り、奥の方の川沿い、比較的空いている一角に設営場所を決定した。恐らく、炊事場やトイレから距離があるから空いているのだろう。

設営完了。
コンビニで買ったおにぎりを食べ、スーパーで買った缶コーヒーを飲みながら一服した。そして場内の桜を眺めたのだった。さ、風呂だ風呂だ。風呂行こーっと!

俺は革ジャンを羽織ってヘルメットをかぶり、グローブをつけてCB400SSに跨った。エンジンをスタートしてアイドリングを調整し、同じ敷地内の「いやしの湯」に移動した。

CB400SSをバイク置き場に停め、お風呂セットを持って入り口に向かった。入り口の券売機で大人1人3時間の入湯券(600円)を買って受付に差し出すと、「チケットは帰りにお渡し下さい」と言われた。俺は「あ、そうですか」と答えて入湯券を財布に仕舞い、男湯の暖簾目差して突き進んだ。

脱衣所で服を脱ぎ、左膝に装着したサポーターのベルクロをバリバリと外してロッカーに押し込んだ。俺は、浴室に入って行った。掛け湯をして露天風呂に浸かり、降り注ぐ日差しを浴びて目を閉じた。そして当然ながら「うぇ゛ーーー」とうなったのである。

「いやしの湯」はきれいな入浴施設で、源泉風呂、循環ろ過の大浴槽、露天風呂、サウナがある。泉質は、カルシウム・ナトリウム・硫酸塩泉。腰痛、神経痛、筋肉痛、関節痛、打ち身などに効くらしい。

風呂から上がって、もう一度コンビニに行って買い物を済ませ、キャンプ場に戻った。キャンプ場の自動販売機ではビールが売ってないので、受付で「すみません。ビール売ってます?」と聞いてみた。すると管理人さんは「そこの建物の中の自動販売機で売ってますから」と、怒った顔で言った。やっぱり怖い。

俺は隣りの建物の自動販売機でビールを買ってテントの傍らに戻り、タオルを干して缶ビールのプルリングを引き開けた。お待ちかねの瞬間だ。俺はごくごくと喉を鳴らしてビールを飲んだ。今日は暑くて(半袖で走っているハーレー乗りがいたほどだ)喉が渇いているので、猛烈にうまい。

ビールを飲み終え、暫くのんびりしてから場内をぶらぶらして焚き木を集めた。キャンプ場で薪を販売しているせいか、手ごろな焚き木がゴロゴロ落ちていた。いやー、豊作豊作。少しの時間でレジ袋一杯の焚き木が集まった。時刻は17時くらい。俺はジャッキーカルパスをつまみながら、日本酒を飲み始めた。そして夕食の支度を開始した。

今日のメニューはまあ、なんつーか、いいかげんな料理なわけだが、あえて命名するならば「鶏もも肉のチリソース煮」だ。
鶏のもも肉をオリーブオイルで痛め、千切りにした玉ねぎを投入。玉ねぎがしんなりしてきたらトマトジュースをひたひたに入れ、固形ブイヨン一個とチリパウダー適量と砂糖少々を入れる。そして蓋をして煮込む。鶏肉に火が通ったら塩コショウで味を調え、バジルをふりかければ出来上がりだ。俺は煮込んでいる間に焚き火を起こし、日本酒を飲みながら料理の完成を待った。

日本酒の瓶があくころ、料理が出来上がった。この料理は玉ねぎの甘みと、トマトジュースの酸味、そしてチリパウダーの香りが鶏肉とマッチしていてうまい。俺は料理をつつきながら、ウィスキーをちびちび飲んだのであった。

本日の料理を食べ終え、物足りないので残った玉ねぎを入れて札幌一番塩ラーメンを作り、これを平らげた。

見ると焚き火が消えかかっていた。俺は太くて長い焚き木を、焚き火台の大きさに合わせて折るべく、傍らの岩に立てかけて踏んづけた。が、折れない。もう一度だ。完治していない左膝をかばいつつ、右足で力いっぱい踏んづけた。が、折れない。俺はむきになり、何度も何度も踏んづけた。
ところで、人が何かを力いっぱい踏んづけるとき、こぶしを胸の前で軽く握り、左右の肘をニワトリのように開閉するのは何故だ。って俺だけか?その姿はさながら、気のふれたおっさんが、駄々をこねているような有様だ。
そんなことはともかく、俺は折れない焚き木を拾い上げて観察し、立てかける向きを変えた。そして力いっぱい踏んづけてみた。と、焚き木はパキッと乾いた音を上げて簡単に折れ、上半分が宙に舞った。そして、俺の右側頭部をゴンッと直撃した。イテイテイテイテッ。さすがの俺もこれにはちょっと頭にきた。だから、焚き火にくべて燃やしてやった。ざまあ見ろって感じだ。(なにやってんだよ)

そうこうしている間に時間は過ぎていった。時刻は20時を過ぎ、日本酒とウィスキーが回って眠くなってきた。俺は食事の後片付けをして歯を磨き、焚き火を消化してテントの中に入った。30分程読書してヘッドランプのスィッチをオフにし、寝袋にもぐり込んだのであった。

朝4時にセットした携帯のアラームが鳴った。俺は携帯を手に取り、4時30分にセットし直した。あと30分寝よう。携帯を枕元に置いて寝袋のジッパーを引き上げて目を閉じると、その瞬間にまたアラームが鳴った。いや、俺には一瞬のように感じられた。携帯を見ると時刻は正しく4時30分だ。一瞬で紛れもなく、30分が過ぎ去ったのだ。俺はノンレム睡眠に気力で打ち勝ち、寝袋を這い出した。そしてテントの中を片付けた。

ジッパーの開閉音に気を遣いながらテントの外に出た。時刻は午前5時。空はうっすらと明るくなり始めている。俺は歯ブラシと歯磨き粉をポケットに突っ込み、タオルを首に掛けて洗面所に向かった。洗面とトイレを済ませてテントの傍らに戻り、コーヒーを沸かしてパンを食べた。

暫しのんびりして撤収開始、水を掛けて消した焚き火のカスは、軍手をして燃えるゴミの袋に移した。テント、椅子、テーブル、細かい荷物はいつもの手順で片付けた。

6時50分撤収完了。
荷物のフックにゴミ袋を吊るしてCB400SSのエンジンをかけ、暖気もそこそこに発進した。水場の前のゴミ捨て場でゴミを分別して捨て、キャンプ場を後にした。

キャンプ場を左に出て県道76号を少し走り、県道413号を右折。俺は朝の道志道を走った。反対車線にはこの時間にして既に、革つなぎを着たライダーが駆るSSが何台も、猛スピードで山中湖方面に走り去って行く。反してこちらの車線を走っているのは、見える限りににおいて俺のCB400SSだけだ。

今日は昨日の朝より、はるかに気温が低い。
俺は気持ちいいカーブが連続する道志道を、朝の霊気のようなものを感じつつ走った。

津久井湖を超えて国道16号を左折。県道20号を右折して暫く走り、コンビニでトイレ休憩。暖かい缶コーヒーを買い、駐車場で飲みながら一服して出発した。県道20号から国道20号を左折し、国立府中インターから中央自動車道に乗った。

午前9時20分。
今朝キャンプ場を出発してから85km、昨日の朝自宅を出発してから207km走って無事帰宅したのであった。


陣馬街道は細くてクネクネしていて、しかもハイカーが多いので走りやすいとはとても言えないが、素朴な味わいのある道だった。俺は結構好きだ。

「いやしの湯」は出来て数年らしく、きれいな入浴施設だった。浴槽も洗い場も広く、設備も整っていて600円なら安い感じがする。ただ、源泉風呂は大きくないので、俺が行ったときはサルのイモ洗い状態だった。反して循環ろ過の大浴槽はガラガラだった。

「緑の休暇村青根キャンプ場」は最低限の設備の普通のキャンプ場だ。サイトは全てフリーサイトで、広さの割りにトイレと炊事場の数が少ないと思う。ともあれ、俺には充分で、料金も納得だ。このキャンプ場は人気があるらしく、インターネットの情報によれば、ゴールデンウィークや夏季は大混雑するらしい。ツーリングマップルに載っているので、バイクでの利用者もいるだろうなと思っていたが、実際は俺だけだった。ちょっと残念な感じだ。



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