2008年10月25日(土)、26日(日)
竜神大吊橋、武生林道、辰ノ口親水公園

目的地 竜神大吊橋と武生林道
ルート
1日目 :  環七 → 国道6号 → 県道38号 → 国道349号 → 県道33号 →「竜神大吊橋」→ 県道33号 →
「武生林道」→ 国道461号 → 国道118号 → 県道29号 →「金砂の湯」→ 県道29号 → 国道118号 →
国道118号 → 国道293号 → 県道165号 →「辰ノ口親水公園」(222km)
2日目 :  県道165号 → 県北東部広域農道 → 国道118号 → 県道38号 → 国道6号 → 環七(146km)
走行距離 368km

ある日の勤務中、俺はマシュマロ君(2006年11月25日(土)、26日(日)奥久慈、紅葉、温泉、キャンプ参照)に問いかけた。「茨城でどっかツーリングにいいとこない?」
マシュマロ君は少し考え、こう答えた。「竜神峡なんかどうですかねー」
「どの辺?」
「袋田の滝の近くですよ」
「きれいなの?」
「本州一長い歩行者用の吊橋があるんですよ、有料ですけどね」
「ふーん、で、橋を渡るとなにがあるの?」
「いや、特に・・・・」
「・・・なんじゃそら!」

という訳で今回の行き先は奥久慈だ。(行くのかよ!)
ツーリングマップルで確認してみたら、竜神峡の近くに武生林道っていう林道があることが分かった。俺はインターネットで武生林道に関して調べた。全線舗装で景色のいい道のようだ。ある人のホームページには、場所によっては荒れているがゆっくり行けば大丈夫、と書いてあった。よし、走ってみよう。宿泊は兄夫婦とハーレー仲間がよく利用する無料キャンプ場、辰ノ口親水公園に決定し、俺は久しぶりのソロキャンプツーリングの準備を開始したのであった。


4時30分起床。5時50分出発。環七のセルフスタンドでガソリンタンクを満タンにし、国道6号を左折して水戸方面に向かって北上した。今日の国道6号は車が少なくて流れがスムーズだ。俺は左車線をのんびり走って順調に進んだ。

利根川を渡って茨城県に入り、牛久の辺りのコンビニでトイレ休憩と朝食。ジューシーサラダサンドと缶コーヒーを買い、駐車場でバイクに跨って食べた。

さらに水戸街道を走る。那珂川を渡って県道38号を左折し、少し走って国道349号を右折。右折してすぐのコンビニの駐車場にCB400SSを入れた。本日2度目のトイレ休憩だ。

今日は晴れ時々曇りの予報に反して、全く太陽が姿を現さない。ここまで、そろそろ晴れてもよさそうなもんだよなー、とか思いながら進んで来たのだが、今のところ空一面に広がる厚い雲には一点のほころびも見当たらない。しかし、暖かい。今日の服装はTシャツ、長袖シャツ、ゴールドウィンのウィンドストップインナーの上に革ジャン。下はユニクロのエアテックカーゴパンツの下にもも引きだ。前回の草津ツーリングが寒かったのでしっかり着込んで出発したわけだが、今日はバイクを止めると暑いくらいだ。俺は冷たい缶コーヒーを飲みながら一服し、コンビニを出発したのだった。

常陸太田市街で国道293号を少し走り、県道33号に入った。と思ったら、道路脇の標識はいつのまにか県道29号になっている。どっかで間違ったか?俺は道端にCB400SSを停め、ツーリングマップルで確認した。どうやらこの辺りは県道29号と県道33号が同じ道になっているようだ。それならそれで、県道33号の標識もたてといてくれよ!って話だ。そんなこんなで俺は道が正しかったことを確認し、道幅の狭い素朴な県道をトコトコと進んだ。

県道29号と県道33号の分岐を右に折れて県道33号を進み、案内版にしたがって竜神峡をめざした。味わい深い風景を眺めながらまったり走っていると、後方から地元の軽トラが急接近してきた。俺は左に寄ってスピードを落とした。軽トラは車体を少し右に振り、エンジンをうならせながら俺を追い越し、ベタ踏みと思われる加速で前方に遠ざかって行った。そして軽トラの荷台後方の扉には・・・・も、もみじマークう?!!
もみじマークをつけてヨタヨタ走ってる車も怖いが、これはこれでものすごーく危険な感じだ。

午前10時45分。出発から150km走って第一の目的地、竜神大吊橋に到着した。

駐車場係りの人の誘導に従って二輪駐車場にCB400SSを停めた。俺はエンジンを停止し、ヘルメットをはずした。グローブとめがねをとってヘルメットに突っ込んでハンドルにかけ、バイクから降りて大吊橋に向かって歩いた。

竜神大吊橋は全長446mで中央支間は375m、歩行者専用としては本州一の長さの吊橋で、竜神川をせき止めた竜神ダムの上にかかっている。橋を渡るには大人一人300円、子供一人200円料金がかかる。ダム湖面からの高さは100mらしいので橋の上からはいい眺めに違いない。橋の向こう側にはちょっとした広場と展望台、そして竜神峡を散策できる遊歩道があるらしい。300円払って渡るべきか否か、俺は約2秒間悩んでやめとくことに決定した。

時刻は11時。俺はここで昼飯にすることにした。駐車場脇の物産センターのレストランでざる蕎麦(600円)を食べ、竜神大吊橋を後にした
竜神大吊橋の駐車場から坂道を下り、県道33号を左折。すぐに武生林道の案内板があった、俺は案内版にしたがって竜神峡から少し北の小道を左折し、落ち葉の降り積もったせまーいくねくね道に分け入った。

武州林道は県道33号の畑中付近からから国道461号の安寺付近に抜ける、全長7,603mの舗装林道だ。道はある場所では荒れてひびが入り、またある場所では舗装のきれいな快適な2車線道路となる。この辺りは奥久慈エリアのディープな部分だ。俺は色づきつつある木々を眺めながら、慎重に走った。

頂上付近の展望広場の脇にCB400SSを停めて休憩。

どこまでも連なる阿武隈山地の山々を眺めながら一服。猛烈にいい気分だ。

展望広場を超えると道は下りのカーブが連続するようになって来た。ぬれた落ち葉の降り積もった山道を慎重に下りて行き、小さな集落(安寺?)を通りぬけると国道461号に突き当たった。俺は国道461号を左折し、大子方面に向かって走った。次の目的地は、日帰り入浴施設「金砂の湯」だ。

国道461号を暫く走り、袋田の滝へ向かう小道を越えて国道118号を左折。国道118号を10km強走り、県道29号を左折。5分程走ると県道29号の左側に「金砂の湯」があった。

俺は駐車場のあいている場所にCB400SSを停め、入り口の受付で料金800円を払って入場したのだった。
駐車場はほぼ満車状態だったが、金砂の湯の浴室はガラガラにすいていた。思うに駐車場の車のほとんどは、同じ敷地内にある蕎麦屋さんに来た車なのだろう。俺は洗い場で体と頭を洗い、内湯と露天風呂をのんびりと楽しんだ。

「金砂の湯」は温泉かと思っていたのだが、パンフレットを読んでみると天然水を沸かしたものらしい。ま、気持ちいいからいいや。

「金砂の湯」を後にして国道118号に戻り、常陸大宮付近のスーパーで食材の買出しを行った。鶏のもも肉、ジャガイモ、スィートコーン、さんまの蒲焼缶、白ワインを購入。続いて近くのコンビニに行き、ウィスキーのポケット瓶と明日の朝食用のパンを購入した。

買い物を終えてスタンドに寄り、ガソリンタンクを満タンにしておいた。スタンドのおばちゃんが給油しながら「足立から来たの?竹の塚に親戚がいるんですよ!」と言っていた。
「へー・・・」
俺は給油を終えて国道293号を少し走り、県道165号を左折した。

15時10分。出発から222km走って本日の幕営地、辰ノ口親水公園に到着だ。

この公園は当日申し込みをすれば、無料でキャンプできるのだ。俺はおそば屋さんの奥の管理事務所に行き、「すみません、キャンプの申し込みしたいんですけど」と言った。受付のおばさんが、「これに記入して下さい」と言って申込書を差し出した。俺は住所、氏名、電話番号等、必要事項を記入し、キャンプ可能なエリアの説明や注意事項を聴いた。おばさんは最後に、「明日帰るときに返してって下さい」と言ってプラスチックの札を俺に差し出した。
俺は言った。「明日、朝早く出発しますけど大丈夫ですか?」
「何時ごろ?」
「多分7時前に」
「そんなに早いの?!じゃあいいか」そう言っておばちゃんはプラスチックの札を引っ込め、「あはははははははははははは」と笑った。
おれも一応「あはははは・・・」と笑ってみた。何が面白いのかは分からない。

俺は管理事務所の駐車場から、キャンプ可能な芝生エリアの駐車場にCB400SSを移動して設営を開始したのだった。

設営完了。
サイトへの乗り入れはできないが、バイクのすぐそばにテントを張れるのでなんの問題もない。(誰にピースしてんだよ)

ってゆーか貸切だ。
サイトもトイレもきれいな無料キャンプ場なのに、俺の他に利用者がいないのが意外だ。なにはともあれ俺はキャンプの支度を終え、前室のシートに胡坐をかいて缶コーヒーを飲みながら一服した。そして祈った。夜おばけ出ませんように・・・

時刻は16時。俺はさんまの蒲焼缶とイカの珍味をつまみに、ワインを飲みながら夕食の支度を開始した。メニューは「鶏もも肉のソテー コーンとポテト添え」だ。おともねさんから教えてもらったレシピを参考に作ってみるのだ。俺はズタ袋から先週やっと入手した100スキを取り出した。今日のキャンプはこれを使うのが目的だと言っても過言ではないが、ちょっと言いすぎかもしれないけれど言いえて妙だ。(まただよ)

100スキをストーブにかけてよく熱し、クレージーソルトをまぶした鶏もも肉を皮を下にして入れ、蓋をして蒸し焼きにする。鶏から油が出てきたところでスティック状に切ったジャガイモとスィートコーンを投入。ジャガイモとコーンにクレージーソルトを振って蓋をし、鶏肉に火が通ったら出来上がりだ。

我ながら上出来だ。かなりうまい。100スキのいいところは火を止めてもなかなか料理が冷めないところだ。俺は料理を食べながら、ワインをガブガブ飲んだ。今日の料理にはワインがあうだろうと思って手頃な大きさの微発泡ワインを買った訳だが、これがなんだかジュースみたいでちょっと失敗だった。

夕食とワインを終え、コーヒーを沸かしてのんびりした。ジュースみたいなワインをがぶ飲みして、ここに至って急激に酔いが回ってきたようだ。

コーヒーを啜り、タバコを吸いながら俺は考えた。バイクで移動して野外で食事し、テントで眠るっていうだけの行為が何故こんなに楽しいのか。
自然の中でとる食事や酒のうまさ
夕ぐれ時のキャンプ場の雰囲気
朝のキャンプ場の爽快感
キャンプ場を早朝出発して走る、誰もいない地方道
理由は色々あげられるけれど、どれもあまりピンとこない。大げさかも知れないが、人間のもっと根源的な何かが野外の生活と共鳴するのではなかろうか。さらに言えば、なにか宇宙的なパワーが俺を突き動かし、週末のキャンプツーリングへと駆り立てているのかもしれない。と、ここまで考えて、俺はある思いに至った。その思いとは、すなわちこうだ。どうでもいいな。さ、寝よ。

夜8時。俺はコンパクトテーブルやストーブを前室にしまって立ち上がり、ふらふらしながらトイレに行って来てテントに入った。そしてウィスキーを飲みながら30分くらい読書して、ヘッドランプを消したのだった。

携帯の目覚しで5時起床。曙光にはまだ早く、テントの中は真っ暗だ。俺はヘッドランプの明かりで寝袋やマットを片付け、テントの中の荷物を整理して外に出た。トイレに行って歯を磨き、顔を洗ってテントに戻った。100円ショップで買った温度計(あまり信用できない)によれば、ただ今の気温は14度。まーったく寒くない。

コーヒーを沸かしてコンビニで買ったパンを食べていたら、徐々に空が明るくなってきた。明るくなるにつれ、今日も厚い雲が空を覆っていることが分かった。俺は朝食を終えて一服し、前室にあぐらをかいて荷物の整理を開始した。

撤収完了。
6時50分にキャンプ場を出発した。雨になりそうな雰囲気だから、一気に帰るぜ!(へんな顔!)

辰ノ口親水公園から県道165号を右に出て、県北東部広域農道を右折。この辺りは俺が好きな地方道って感じで、すごーくいい雰囲気だ。久慈川を渡って国道118号を左折して水戸方面に進み、県道38号を経由して国道6号に出た。

霞ヶ浦市の辺りで懸念していた雨がとうとう降り出した。少しの間そのまま走ったが止む気配がないので、お店の駐車場にCB400SSを停めた。俺は軒下でレインスーツを着用して一服し、再出発して国道6号を走った。

雨の茨城県を走り抜け、利根川を渡って千葉県にはいると雨は小降りになり、松戸のあたりで完全に上がった。俺はレインスーツを付けたまま走り、江戸川を渡って東京と葛飾区に入った。時刻は9時50分くらい。金町近辺はまだすいている。ああ良かった。この辺りはいつも混むのだ。

午前10時20分。辰ノ口親水公園を出発してから146km、昨日の朝自宅を出発してから368km走って無事に帰宅したのであった。


好天だと思って出発したものの、まったく太陽をみることのない二日間だったわけだが、久しぶりのソロキャンプツーリングを充分楽しんだ。だれもいないはずのキャンプ場では、夜中にボソボソボソボソとしゃべる人の声が聞こえて相当怖かったが、勇気を出してテントのチャックを開けて確認してみたら、アベックが川沿いの階段に座って話しをしていたのだった。おどかさないでよ〜って感じだ。

辰ノ口親水公園は良く手入れされた、きれいな公園だ。水場やトイレはキャンプ可能なエリアから遠いが、無料のキャンプ場としては最高のレベルではないだろうか。


戻る