2008年8月2日(土)、3日(日)
霧降高原から、なぜか道の駅かつら

目的地 霧降高原道路
ルート
1日目 :  環七 → 国道4号 → 国道119号 → 県道169号(霧降高原道路) → 県道23号 → 国道121号 → 県道63号
→ 県道272号 →「東古屋キャンプ場」→ 県道272号 → 県道63号 → 国道461号 → 国道4号 →
国道408号 → 県道69号 → 国道123号 →「かつら裏」→ 国道123号 →「ごぜん山温泉四季彩館」
→ 国道123号 → 「かつら裏」(336km)
2日目 :  国道123号 → 県道112号 → ビーフライン → 県道1号 → 国道50号 → 県道41号 → 国道125号
→ 国道408号 → 県道55号 → 国道6号 → 環七(152km)
走行距離 488km

会社の行き帰りや打ち合わせのための外出時、客先から駅に向かって歩いているとき、あるいは駅からバス亭に移動しているとき、ワイシャツの下で流れ落ちる汗に不快な思いをしながら俺は考える。バイクのことやバイクのこと、そしてバイクのこと。バスの座席に座り、空調の吹き出し口を自分に向けながらふと思いつく。そうだ!次回のツーリングは高原だ(どうつながるんだよ)。草木の香り、牧草地を吹き抜ける風、さわやかな空気。それらのものが俺を呼んでいる(ような気がする)。

そこでだ。俺は例によって、ツーリングマップルで行き先を検討し、栃木県の霧降高原を目的地に定めた。いまや無料となった、霧降高原道路を走るのだ。


4時起床。CB400SSのロックとシートカバーをはずし、キャンプ道具を積載して5時に出発した。国道4号を北上し、道の駅「ごか」で最初のトイレ休憩。ここまで、給油やら工事渋滞やらなんやかやで1時間20分かかった。道の駅の駐車場に、キャンプ道具を満載にした、オフロードバイクが停まっていた。ライダーと思われる人に、どちらまで?と声をかけようかと思ったが、怖そうな顔の人だったのでやめた。

缶コーヒーを飲んで一服して、道の駅を出発。天気はうす曇り。走行していると暑くもなければ寒くもない。混んでもいなければ、空いてもいない国道4号を、俺は淡々と走ったのだった。

出発から2時間30分ほど走って宇都宮に差し掛かり、国道4号から国道119号に入った。こじんまりとキャンプ道具を積載したジェベルの後ろを暫く走り、コンビニで2回目のトイレ休憩。サンドイッチと缶コーヒーを買って朝食とした。

国道119号は交通量が多く、片側一車線なので流れが悪い。ツーリングのバイクや、観光と思われる車がたくさん日光方面に向かっている。

道100選と街路樹100景に選ばれているという、日光杉並木街道を走り抜け、勢いあまって東照宮の方まで走ったところで、行き過ぎたことに気がついてUターン。少し戻って県道169号を左折した。

県道169号に入ってすぐ、路肩が広くなっている場所があったので、CB400SSを停車した。グローブをはずし、ウエストバッグからタバコを取り出して火をつけた。森の道に差し掛かってから空気がひんやりしたような感じだ。俺はゆっくりと一服して、携帯灰皿でタバコをもみ消した。さあ、霧降高原道路だ。

美しい森に囲まれたワインディングを俺は走った。右に左に無理なく車体を傾けて、連続するカーブを抜けつつ、高原に向かってグングン高度を上げていった。ときおり森が途切れて谷側の展望が開け、低い雲を纏った山々が荘厳な感じで姿を現す。おおーっ!って感じだ。たまに後方からかっ飛んでくるバイクに道をゆずらなくてはならないものの、基本的にはほとんど車が走ってないので、俺は気持ちよーく走った。

大分高度が上がって来た。日光霧降高原スキー場の第二駐車場を越え、第一駐車場の案内板に従って駐車場に入り、CB400SSを停めた。トイレを済ませ、駐車場からの展望を眺めながら一服。ツーリング中のバイクグループとソロのライダーが休憩していた。

駐車場を後にして、キスゲ平(6月〜7月には日光キスゲが咲くらしい)を越え、霧降高原道路の最高所、標高1,434メートルの六方沢橋を渡る。下りのワインディングを少し走ると、唐突に両側の木立がなくなって、明るく開放的な雰囲気となった。

いまや起伏はゆるやかになり、高原地帯に差し掛かったと知れる。道は、左右に広がる広大な牧草地を縫って、緩慢に蛇行しつつ伸びて行き、小高い丘の向こうに消えている。ウィークデイのある日、炎天下のアスファルトの上で思い描いた高原の道、そのままの姿の高原地帯を俺は走った。気持ちいい。超絶的且つ、爆発的に気持ちいい。本格的に、おおーっ!って感じだ。(なんじゃそら!)

牧草地の広がる高原地帯をご機嫌で走り抜け、正面に現れる「大笹牧場」の駐車場にCB400SSを入れた。バイク置き場には、たくさんバイクが停められていて、俺はなんとか隙間を見つけてCB400SSを押し込んだ。時刻は10時。計画では昼食予定地だったが、まだ早いのでやめにした。ベンチに座って缶ジュースを飲みながら休憩。売店のソフトクリームを食べたくなったが、これもやめにした。メタボ対策だ。

大笹牧場の駐車場を右に出て、県道169号を走りきり、突き当たりの県道23号を右折。川治ダムを越えて国道121号に入り、龍王峡のドライブインに入った。時刻は11時前。少し早いけど昼食だ。数軒ある食堂の一軒に入ると、おばさんがお冷を持って来て、「何にします?」と言った。俺は咄嗟に「ラーメン下さい」と答え、心の中で、このくそ熱いのにラーメンかよ!と自分に突っ込みを入れたのだった。

店を出ると、龍王峡見学路っていう看板が目に入った。ラーメンを食べて汗をかいたので、水辺でちょっと涼もうと思い、そちらの方に行ってみた。俺は少し歩いて、すぐに考えを変え、駐車場に向かって引き返した。それと言うのも、道は渓谷に向かって急な下りの階段になっていて、渓谷や虹見の滝の方から戻ってくる観光客達は、みな汗をだらだら流しながら、はあはあと呼吸を荒くして、さながら大一番をとり終えた高見盛のような雰囲気で階段を登って来るからだ。水辺で涼むどころの話じゃなさそうだ。俺はさっさと駐車場に戻り、CB400SSのエンジンをスタートさせ、ヘルメットとグローブを装着して出発した。

東武鬼怒川線の新藤原駅の手前で、国道121号から県道63号を左折。車のすれ違い困難な狭いくねくね道を走る。

美しい清流。いかにも山の中の小川って感じだ。俺はCB400SSを停め、川の水をすくって顔を洗った。気持ちいい。開放的な高原の道もいいが、県道63号のような山間の道もなかなか味わい深い。

片側一車線の走りやすい道になってから暫く走り、県道63号の右側にある荒川ダムの駐車場に入った。ここで昇仁沢湧水を汲むことができると、インターネット事前調査で知見を得ていたのだ。俺はCB400SSを停め、振分バッグから1リットルのポリタンクを取り出して水汲み場に向かった。

しかしだ。なんじゃこの混雑は!水汲み場には大勢の人がいて、それぞれが20リットルのポリタンクを、少ない人で2個、多い人は10数個地面に並べて順番待ちをしている。わずか1リットルのポリタンクを満タンにするために、いったい何10分待てばいいのか、想像もつかない。第一、でっかいポリタンクをいくつも準備して順番待ちをしている人の中で、ちっこいポリタンクを持ってぽつんと立っている自分が、なんとなくばからしい。俺は名水をあきらめて駐車場に戻り、トイレに入ってから荒川ダムを後にしたのだった。

荒川ダムから県道63号を10km程走り、県道272号を右折して元古屋橋を渡った。午後12時5分。本日の宿泊予定地、東古屋(ひがしごや)キャンプ場に到着した。穴場だとは聞いていたが、8月の土日にも関わらず、人っ子ひとりいない。

俺は、バイクを降りて場内を偵察した。東古屋キャンプ場は東古屋湖上流の西荒川沿いにある、全面芝生のきれいなキャンプ場だ。料金は一人300円。地元の釣り管理事務所に支払って利用することになっている。寂しい場所にあるので、このまま誰も来なかったら、夜怖いかもしれないが、丹沢上流のキャンプ場でも一人で耐えられたので、多分大丈夫なはずだ。

どこにテント張るかなー、と考えていると頭の横でブーンと言う音が聞こえた。アブだ。改めてあたりの中空を見渡すと、そこかしこにアブが飛んでいる。しかも結構でかい。ちょっとやばいかも・・・・一匹(一匹っていうのか?)俺の頭のまわりをしつこく飛んでいるアブがいた。俺は顔を防御するつもりで、ヘルメットのシールドを閉じた。そして、ありえないことが起こった。あ、あぶが・・・アブが飛び回っている。俺の顔と、ヘルメットのシールドの間の・・・・せまい空間を・・・しかも結構でかい。俺はシールドを上げ、手でアブを追い払った。そして踵を返して駆け出した。

俺はバイクに飛び乗るように跨り、キーをひねってエンジンをかけた。もはや俺はプチパニック状態に陥り、アブの大群が追いかけてくるという強迫観念に囚われている。せっかくここまで来たのにとか、きれいな穴場のキャンプ場なのにとか、俺の後ろ髪を引く理由がなんであろうと、そんなことは知ったこっちゃない。今俺がやりたい唯一のことは、この場を去ることだ。エンジンがかかると同時にスタンドを蹴り上げ、ギアをローに叩き込んだ。そして乱暴にクラッチをつないで急発進し、駐車場の砂利を蹴散らしてその場を逃げ出したのだった。

あー怖かった。どうもアブとか蜂はにがてだ。俺は本日の宿営地を、烏山の宮原キャンプ場に急遽変更し、県道63号から国道461号を経由して、国道4号を南下した。東古屋キャンプ場は、今度あらためてキャンプしに来ることにしよう。国道4号から県道10号を左折し、道端にCB400SSを停車した。

ツーリングマップルを見ながら、俺は考えた。ここまで来たら、っていうか、宮原まで行くなら、茨城県御前山のかつらもそう遠くはない。多分、かつらでは、○ともねさんたちがキャンプしているはずだ。よーし、こうなったらかつらまで足を伸ばして、○ともねさんたちと合流しよう。再度作戦変更。俺は県道10号をUターンし、国道408号を南下した。

国道408号から県道69号を走り、国道123号に出た。ツインリンク茂木を越えて茨城県に入り、午前山方面に進んだ。

午後2時45分。出発から314km走って本日の宿営地、道の駅かつらの裏に到着だ。

予想通り、○ともねさんの車があり(○ともねさんの車は発見しやすいので便利だ)、かたわらには嬉しいことに、○んなんさんのメイトも停まっていた。俺は○ともねさんの車の横にCB400SSを停めた。○ともねさんのタープには誰もいないので、きょろきょろしていると、となりのタープの下から、「こんちはー」と声をかけられた。○んなんさんがいて、「この熱いのに良くバイクでくるねー」と自分のことは棚に上げて言った。既に枝豆をつまみに一杯やっている。少しすると、○ともねさんと○ーきちゃんが水場(トイレかも)の方から戻ってきた。脅かそうと思って突然現れたのに、全然驚いてくれなかった。なんとなく悲しい。
○んなんさんがくつろいでいたタープの持ち主、○ーさん、○こみさんとは初対面。お互いに「始めまして」と挨拶を交わしたのだった。

設営完了。
取り合えず一服して、いつも通り御前山温泉四季彩館に行って一風呂あび、サイトに戻ってビールを飲んだ。○ーさん、○こみさん、○んなんさんが、入れ替わりに○ーさんの車で四季彩館に向かった。○んなんさんに「もう一回行かない?」と聞かれたが、さすがに今行ってきたばかりなのでお断りし、○ともねさん、○ーきちゃんと3人でお留守番をしたのだった。

日が暮れてきた。○ともねさんのタープの下に集まり、飲み且つ食べた。○ーさんは七輪で炭を起こしたり、なんだかんだと忙しそうに立ち働いていた。俺は今回も○ともねさんに、100スキで焼いた鶏皮や、鶏皮からでた脂で焼いたねぎやナスをご馳走になった。カリカリに焼いた鶏皮に味噌をつけて食べた。これが旨い。酒のつまみに最高だ。

午後8時30分頃(だと思う)、俺は椅子に座ってうとうとし始め、○ともねさんに「どうぞ、もう寝て下さい」とか言われてテントに入り、速攻で眠ったのだった。(まただよ)

朝4時。
携帯の目覚ましで起き、テントの中を片付けて4時30分頃外に出た。昨夜は熱帯夜の予想だったので、インナーテントの前後の入り口をメッシュにして寝た。夜中に崖の上のポニョを大声で歌っている奴がいて、ポニョポニョポニョポニョうるせーな!と目が覚めたことを除けば、ぐっすりと眠ることができた。

歯をみがいてコーヒーを沸かし、レーズンバターロールの朝食を食べて撤収開始。○ーさんが起きてきて、「おはようございます。よく眠れました?」と言った。俺は、「はい、ぐっすり」と答えた。撤収が完了する頃、○んなんさんが起きてきた。○ともねさんはまだ爆睡中のようで、ときどき車上のテントから「フガッ」って声が聞こえる。

撤収を完了し、○んなんさん、○ーさんに挨拶して、午前6時15分に道の駅かつらを出発した。今日は○んなんさんお勧めのルートを走って帰ってみるのだ。

国道123号を水戸方面に数キロ走り、県道112号を右折。この道に踏み入れてすぐ、俺はおおーっ!となった。いい!猛烈にいい!広々とした田園地帯を走り抜けたかと思えば、素朴な感じの集落を突っ切る。しかも、車はまったく走っていない。俺はこういう地方道が大好きだ。またまた、○んなんさんに感謝だ。

暫く走ると県道112号は右に分岐し、直進するとツーリングマップルにも載っている、ビーフラインと呼ばれる道になる。なぜビーフラインと呼ばれているのかは謎だが、俺は○んなんさんに教わった通り、ビーフラインに直進した。

ビーフラインはアップダウンとコーナーが連続する、楽しい道だ。信号がほとんどないので、俺は楽しみつつ、快適に距離を稼いだ。車はほとんど走っていなくて、たまに対向車線をバイクがかっ飛んで行く。俺はご機嫌で、ビーフラインに薄く煙る朝霧を、切り裂いて進んだのだった。

ビーフラインを走りきり、県道1号を左折して、すぐに国道50号を右折。水戸線の岩瀬駅を越えたあたりで県道41号を左折。暫く南下し、俺はCB400SSを停車して、筑波山を眺めながらのんびりと一服した。○んなんさんの言う通りだ。このルートはすごーくおもしろい。飛びの崩れといい、今回のルートといい、○んなんさんの言うことに間違いはないなあと、改めて思ったのであった。

県道41号から、国道125号、国道408号、県道55号を走りぎ、土浦の辺りで国道6号に出て東京方面に進んだ。東京まで国道6号を一気に走り環七を左折。

午前9時50分。道の駅かつらを出発してから152km、昨日の朝自宅を出発してから488km走って、無事帰宅したのであった。


高原満喫、湧き水断念、アブの襲撃、なぜかかつらでキャンプ、朝のビーフラインと、密度の濃ーいツーリングであった。

○んなんさん、○ともねさん、○ーきちゃん、○ーさん、○こみさん。突然の乱入失礼しました。またどこかで、お願いしまーす。



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