2008年3月15日(土)、16(日)
花貫渓谷走って温泉入ってキャンプ

目的地 花貫渓谷
ルート
1日目 :  環七→国道6号→国道293号→国道245号→国道6号→国道461号(花貫渓谷)→
県道33号→県道166号→県道62号→国道293号→県道21号→国道123号→「御前山色彩館」→
国道123号→「道の駅かつら」(246km)
2日目 :  国道123号→国道118号→国道51号→国道6号→環七(140km)
走行距離 386km

暖かくなって来た。今週一週間で、冬から春への移り変わりが一機に進んだ感じだ。お花畑ではちょうちょが遊び、道行く人々は季節の美しさに涙ぐみ(それ花粉だから)、うちの台所ではかみさんが鼻歌を歌い狂う。そんな季節の到来だ。(どんな季節だよ)

俺はといえば、今週末は久しぶりに休日出勤の予定がない。で、2008年の初キャンプだ。水戸街道を北上し、日立あたりの海をちょこっと見て、花貫渓谷を華麗に走り抜け(もはや凍結の心配はないだろう)、道の駅かつら裏の無料キャンプ場でキャンプするのだ。

昨夜の雨は気合が入っていた。会社からの帰路にズボンの折り目をほぼ失った俺は、ほんとに明日は晴れるのか?と、天気予報に疑念を抱いていた訳だが、今日は予報どおり雨があがり、どんよりと曇ってはいるものの暖かい朝を迎えた。真上を見ると分厚そうな雲も、西の方の空を見ると所々に青空が見え、数時間後の晴天を予感させる。

今日俺は5時に起きてキャンプ道具をCB400SSに括りつけ、3ヶ月ぶりの復活となったジェット型のヘルメットを被り、6時10分に自宅を出た。いつもの場所で5分程暖機運転を行い、荷物の結束をチェックした。よし、出発だ。俺は環七から国道6号を右折し、朝の混雑を黙々と我慢して北上したのだった。

毎度のことながら、国道6号は取手を通過すると車の数が減り、走行がスムーズになる。出発から1時間40分程走り、俺は牛久市のあたりでローソンに入った。本日一回目のトイレ休憩だ。たっぷりツナロールとダイドーブレンドコーヒーを買って朝食とした。

牛久市のローソンを後にしてスムーズに走り、国道51号の手前にCB400SSを停車してルートチェック。国道6号のこの先は未体験ゾーンだ。朝の分厚い雲は一体どこへ行ってしまったのか。いまや文句なしの快晴だ。

水戸市から那珂川を越えてひたちなか市に入った。このまま国道6号を進んで、国道461号を左折して花貫渓谷に向かうつもりだったのだが、ふと思い立って国道293号を右折し、日立港の方に向かった。

国道293号から海沿いの国道245号を左折。ちょっと走ったら、灯台が見えたので行ってみた。灯台は芝の良く手入れされた美しい公園に建っていた。看板がないので、なんていう公園なのかは分からない。俺はベンチに座って、気持ちよく一服したのだった。

国道245号から常磐線の日立駅の辺りで国道6号に戻り、さらに北上。右側に見え隠れする太平洋沿いを走り、「花貫」っていう交差点を左折して国道461号に入った。

俺はガソリンスタンドを探しながら走った。山道に入ったらスタンドがなかなかないかも知れないからだ。花貫渓谷に差し掛かる前に給油したい。と思ってたら、道の左側に出光発見。俺はすかさずスタンドに入り、ガソリンタンクを満タンにし、膀胱をからにして再出発したのである。

ガソリンスタンドを出て常磐自動車道を超えると、国道461号はだんだん山道っぽくなっってきて、少し走ると花貫ダムに到着。このダムの上流が花貫渓谷だ。

花貫ダムは、治水や上水道用水、工業用水確保のために茨城県が建設し、1972年に完成した。ダムの上から太平洋を見ることができる数少ないダムとして、ダムマニアの人たちには有名らしい。世の中にはいろんなマニアがいるものだ。

花貫ダムから花貫渓谷沿いの国道461号を走り、花貫トンネルを通過すると、右側に花貫物産センターが見えて来た。時間はちょうど12時くらいだし、腹が減ってきたのでここで昼食にするのだ。

俺は駐車場にCB400SSを停め、物産センターの建物に入って行った。野菜や山菜、漬物などの売り場の奥の一角にこじんまりとした食堂スペースがあった。とろろそばセット(850円)を注文した。

食事を終えて、外に設置されている灰皿のところで一服してたら、おなじく一服していた年配の男性に、「長旅ですか?」と声をかけられた。俺のバイクに積載された荷物を見てそう思ったのだろう。
俺は「いや、一泊ですけどキャンプするんで大荷物になっちゃうんですよ。」と答えた。
「どこにとまるんですか?」男性が言った。
「御前山の方に無料でキャンプできるところがあるんですよ。」
「ああ、道の駅?」
「そうです、そうです。かつらの裏です。ご存知ですか?」
「知ってますよ。あそこはオートバイの人も良くテント張ってるね。オートバイはいいですよね。私はもう歳だから乗れないけど。」
この人も若い頃はバイク乗りだったのだろう。俺は、「まだ、そんなお年じゃないでしょう。」と言ってみた。男性はタバコを灰皿でもみ消し「いやいや、もうだめですよ。それじゃ、気をつけて。」と言って去っていった。俺もタバコをもみ消し、CB400SSのエンジンをスタートさせた。ヘルメットを被り手袋をはめてシートに跨り、サイドスタンドを蹴り上げて出発したのだった。

花貫渓谷沿いの国道461号は、カーブも勾配も穏やかだ。場所によっては路肩に雪のかたまりが残っていたりしたが、この暖かさでは凍結の心配は全くなく、俺は気持ち良ーく渓谷沿いの道を走った。

花貫渓谷を気持ちよく走り抜け、国道349号の交差点を超えると、国道461号は花貫川を離れ、これがほんとに国道か?って感じの狭ーいくねくね道になる。しかも道路には枯葉が散乱してるので、俺は慎重に、ゆっくりと進んだ。

山道を超え、集落沿いの細道を民家の軒を掠めるように走りぬけ、県道33号を左折。この道がまたなんとも、ガラガラに空いてるし、信号は無茶苦茶少ないし、のんびり走るにはもってこいの道だ。

県道33号を15km程南下し、和田っていう交差点で県道166号を右折。そのまま直進して県道62号に入り少し走って国道293号を右折。国道293号から県道21号、そして国道123号はほぼ道なりに走り次いだ。

県道21号の交差点から5km程走ると、国道123号の右側に色彩館の看板が見えてきた。案内に従って信号を右折し、御前山温泉色彩館に到着だ。この時点で13:50だから出発から8時間近く経っている。結構疲れたし、暖かいので汗もかいた。風呂に入って「うぇ゛ーー」って言おう。

俺は、入り口の券売機で1,000円の入場券を買って受付に渡して入場した。脱衣所は混んでたが、浴室は空いていた。俺は掛け湯をしてまず露天風呂に浸かった。続いて打たせ湯で肩の凝りをほぐした。体と頭を洗い、内風呂の大きい浴槽、源泉の湯、サウナを満喫した。

風呂からあがり、休憩所でのんびりと汗が引くのを待った。冷たいジュースが猛烈に飲みたくなったが我慢した。のどの渇きはビール用にとっておくのだ。

御前山温泉色彩館を後にして国道123号を戻った。直進すると県道21号になる交差点を右折して那珂川を渡ると、すぐ左側に道の駅かつらがある。俺は、道の駅の先の道を左に曲がった。

ほぼ15:00ジャスト。出発から246km走って本日の宿営地、道の駅かつらの裏に到着だ。ささっと設営してビールを買いに行かねばならない。(別にならなくはない)

設営完了。この時点で俺のステイシーの他にテント無し。車は数台停まっているが、キャンプしそうな人はいなそうだ。この分だと貸切かあ?ワクワクドキドキって感じだ。俺は道の駅の隣りのコンビニに向かった。ここは歩いてコンビニに行けるから便利だ。ビール、カップの日本酒、ポケット瓶のブラックニッカ、ジャッキーカルパス、さんまの蒲焼缶、おにぎり、インスタントラーメン、明日の朝食用にフレンチトーストとチーズピザパン、それと2リットルのミネラルウォーターを購入。夕食は簡単におにぎりとインスタントラーメンで済ますつもりだ。

買い物を終えてテントサイトに戻ると、いつの間にやら俺のテントの目の前に4台の車が停まり、テントやタープの設置を開始している。俺は、前回ここでキャンプしたときに、キャンパーが密集していたエリアを避けて設営したつもりだったが、なぜかその人たちは周りががらがらなのにも関わらず、俺のテントのすぐそばに設営していた。ま、いーか。俺は気にしないことにした。それよりもビールだ。俺はモルツのプルリングを引き起こし、カラカラの喉にビールを流し込んだのだった。

しかしだ。前の人たちがうるさい。何故そんなに大声で話すのか。このグループは犬を数匹連れてきていて、これがまたキャンキャンキャンキャンと良く吼える。グループの一人は何か一言言う度に「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ」と大声で笑う。これがものすごい、いやだ。その度に会社の部長代理が俺の頭の中に出現するのだ。部長代理が嫌いなわけではないのだが、ソロキャンプの時くらい仕事のことを忘れたい。俺はジャッキーカルパスをつまみにビールを飲みながら考えた。多分このグループは中央に張られたタープの下で、夜中まで宴会を開催するだろう。寝てるときに「あひゃひゃひゃひゃ」を聞いたら、部長代理が夢に出てくるに違いない。

俺は決断した。残りのビールを一機に飲み干し、ガバッと立ち上って、テントのペグを全て抜いた。前室の荷物を一旦外に出し、ステイシーをズリズリと移動した。ツーリングやキャンプ、特にソロで行動しているときの俺は、仕事を先送りにしないのだ。5メートル、いや少なくとも10メートルは「あひゃひゃひゃ」から離れたい。充分と思える位置までステイシーを移動し、荷物とバイクを運んだ。話し声や犬の鳴声は聞こえるが、我慢できないほどではない。後から来たグループには「感じ悪い」と思われたかもしれないが、気にしないことにしよう。

夕闇が迫ってまいりましたーーーっ!!!(なぜか高テンション)
俺はキャンドルランタンに火を入れた。さんまの蒲焼缶をストーブで熱し、それをつまみながら日本酒を飲んだ。暮れてゆく空をぼんやりと眺めながら、静かに飲む酒は最高だ。夕暮れ時は、キャンプの時間の中で、早朝の次に俺が好きな時間帯だ。

日本酒を飲み干し、おにぎりとラーメンを食べた。今や日はどっぷりと暮ている。俺はウィスキーのポケット瓶をびちびち飲んだり、コーヒーを沸かして飲んだりしながらのんびりと過ごした。案の定先ほどのグループは宴会を開始していて、数匹の犬も立派に参加していたが、その騒がしさは無視した。日中は汗をかくほど暖かかったが、夜になったらだんだん寒くなってきた。俺はテントに入ることにした。

テントの中で足をシュラフに突っ込み、ヘッドライトの明かりで読書をしながらウィスキーちびちびやった。1時間程読書してウィスキーを飲み干し、時計を見ると21時を回っていた。俺はライトを消し、シュラフに潜り込んだ。

予想通り宴会は0時過ぎまで続き、俺は何回か目を覚ました。0時半頃、話し声が聞こえなくなり、車のドアが何回か開閉する音が聞こえた。やっとお開きになったようだ。多分何組かは車中泊なのだろう。と、ほっとしたのもつかの間、車のエンジンを掛ける音が聞こえた。1台ではなく2台、あるいは3台。一斉にエンジンのアイドリングがスタートした。こういう行動は、俺には信じられないのだが、別に普通のことなのか。俺からみてグループの向こう隣にはまた別のキャンパーがいる。しかも俺とグループの位置関係より全然近い。周りのキャンパーがうるさいと思うとは考えないのか。俺はシュラフから抜け出し、前室に置いておいた頭陀袋の中を引っ掻き回して、目的のものを見つけだした。100円ショップで買った耳栓だ。

この耳栓は低反発枕のようなスポンジをコーティングして作ってあり、ねじり潰して耳に入れると、耳の中で、もわ〜って感じで緩慢に膨らんで行き、膨らむつれて回りの音が段々小さくなって行く。なんとも不思議な感覚だ。100円ショップの耳栓は費用対効果で考えると、ものすごい優れものだ。たった100円で、混雑していて騒がしいキャンプ場でも、あるいは強風の中のテント泊でも、睡眠に適した静かな環境を得ることができるからだ。しかも、千切れたりしない限り、何回でも使えるのだ。「さあ、どうです?奥様!いまならこの耳栓が、高級ケース付きでジャスト100円!ジャスト100円でのご提供です。この機会をのがしたら、二度とありませんよ!」って感じだ。(なんの話だよ)
とにかく、俺は耳栓を装着してシュラフに潜り込んだ。そして次に目覚めたときは、早朝の薄明かりが、テントの中をぼんやりと照らしていたのだった。

午前6時。俺はシュラフから這い出してテントの外に出た。川面から水蒸気が立ち昇り、あたりを幻想的な霧が包んでいる。俺は伸びをして手足の屈伸を行い、歯を磨いて顔を洗った。前室にしまったテーブルと椅子を表に出してコーヒーを沸かし、昨日コンビニで買ったパンの朝食をとった。時間の経過とともに辺りの霧は徐々に晴れていった。

朝食を終えてもう一杯コーヒーを飲みながら一服し、撤収を開始した。小物を整理していたら、30代くらいの男のひとが「すみません」と言いながら近づいて来た。俺は、グループの一人が気分を害して、文句を言いに来たのかと思い、ちょっと身構えた。しかしそうではないらしい。手に大きなカメラを持っている。

男の人は、「○○○○○っていう雑誌ご存知ですか?」と言った。俺は「はい。知ってます」と答えた。買ったことはないが、バイク雑誌だ。
「取材でこの辺うろちょろしてるんですけど、ちょっと取材させてもらってもよろしいでしょうか?片付けながらで結構ですから」と言う。
俺は「いいですよ。」と答えた。男の人は、ノートとペンをバッグから出し「ありがとうございます。どうぞ片付けながらで結構ですから。」と言った。
「バイクでキャンプは良くやられるんですか?」
「はい、キャンプは年間10泊くらいですね」
「いつも、お一人ですか?」
「そうですね、基本一人です。たまに兄夫婦や、かみさんとも行きますけど。」
「お兄さん夫婦や、奥さんもバイクに乗ってるんですか?」
「はい。」
「ちなみに、車種はなんですか?」
「兄夫婦は二人ともハーレーで、かみさんはVTRです。」
「へー、いいですね!このCB400SSは、いつ頃買われたんですか?」
「去年の7月です。」
「購入の決め手は何でした?」
「レトロな感じのが好きなので。SRと迷ったんですけど、セルが付いてるからCB400SSにしました。」
そんな感じの質問が暫く続き、最後に写真を撮らせてくれと言うので、俺はCB400SSに跨った。男の人は、テントをバックにした俺とCB400SSの写真をおそらく十数枚撮影した。ひょっとすると二十数枚かも。シャッターを押すたびに、「固くならないで結構ですから。笑って下さい。」と言われたが、俺はカメラの前で笑うのが苦手なのだ。それでも、不自然にならないように祈りながら、ニカッとしたが、恐らく失敗したに違いない。

写真を撮り終わり、男の人は「ありがとうございました。5月号に載りますので。」と言って去って行った。俺は撤収作業を再開した。テントやシュラフ、その他の小物を荷造りしてCB400SSに括りつけ、7:30にキャンプ場を出発したのだった。

キャンプ場を出て国道123号を暫く走る。この道も日曜の朝だと交通量が少なく、素朴な感じでいい雰囲気だ。空には薄く雲がかかっていて、空気が冷たい。俺はジェット型のヘルメットで来たことをちょっとだけ後悔した。

国道123号から国道118号、国道51号を走りついで水戸駅周辺を通過。この辺の道は分かりづらい。前回同様迷子になったが、どうにか国道6号の交差点を発見し、東京方面に向けて右折した。

さあ、後は一気に帰るだけだ。一度小美玉市の美野里パーキングエリアに入って缶コーヒーを飲みながら一服し、その後は国道6号を一気に走る。新葛飾橋の金町手前で渋滞したがすり抜けずに進み、環七を右折。

午前11時10分、道の駅かつらから140キロ、昨日の朝出発してから386キロ走って無事に帰宅したのだった。


ツーリングレポートと言うよりは、なにやら耳栓レポートみたいになっちゃった訳だが、久しぶりのキャンプツーリングを充分楽しんだ。バイク雑誌の5月号が楽しみだ。

今回のツーリングの収穫は、国道461号からちょっと入ったところにある、小滝沢キャンプ場の位置を確認できたことだ。今度行ってみよう。


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