2007年2月10日(土)、(日)
絶景西伊豆キャンプツーリング

目的地 伊豆半島
ルート
1日目 :  明治通り → 国道246号 → 国道129号 → 国道134号 → 国道1号 → 国道135号 →
国道136号 → 雲見オートキャンプ場(257km)
2日目 :  雲見オートキャンプ場 → 国道136号 → 県道11号 → 国道135号 → 国道1号 →
国道129号 → 国道246号 → 環七(226km)
走行距離 483km

この三連休はキャンプするぞ!と数ヶ月前から決めていた。行き先は西伊豆。GNで初の静岡県入りを果たし、いよいよ伊豆半島をツーリングするのだ。俺は綿密に計画を立てた。国道246号から平塚あたりに出て、海沿いに伊豆半島をぐるっと回って西伊豆を目指す。帰りは西伊豆を北上し、修善寺を越えて熱函道で熱海に抜ける予定だ。凍結してるとやなので、箱根越えはしない。

熱海で尾崎紅葉を忍び、黄金崎で三島由紀夫の「獣の戯れ」を思い、修善寺あたりでは川端康成の「伊豆の踊り子」に思いを馳せるのだ。伊豆半島は観光地、景勝地が目白押しだ。文豪達が愛したこの半島を、俺はのんびりと、味わいながら走って西伊豆のキャンプ場を目指すつもりだ。そして、夜はキャンプ場の露天風呂に浸かり、風呂上りにはビールを飲みながら、星空を見上げるのだ。


今週半ばまでの週間予報にはヤキモキさせられたが、どうやらこの三連休は好天にめぐまれそうだ。伊豆の道は渋滞するとすさまじいことになるので、俺は3時に起きて4時10分に出発した。なるべく早い時間に熱海くらいは超えておきたい。

明治通りで、池袋、新宿、原宿を超え、渋谷で国道246号を右折。こんな時間なのになんでこんなに、人も車もいっぱいいるんだよ。
渋谷までは工事渋滞もあり、激しく時間がかかったが、246で多摩川を越えてからは快調に距離を稼いだ。出発したときは寒くなかったが、走るにつれだんだんと体が冷えてきた。気温はそんなに低くないのだが、風が強い。俺は厚木の辺りでコンビニに入り、一回目のトイレ休憩と朝食をとったのである。

国道246号から国道129号に入り、平塚市に入って一度給油して、高浜台の交差点で国道134号を右折。湘南の海沿いを走る。湘南の海は独特の雰囲気があって、なんとなくおしゃれだ。ちょっと曇り気味でも、それはそれでいい感じだ。

道が混んでたが、路肩が広いので余裕ですり抜けて進み、西湘バイパスの手前で国道一号に入り、更に西を目指す。昨日の天気予報によれば、今日はこれから、いい天気になるはずだ。

ふと思い立って案内板に従い、俺は小田原城に立ち寄ってみた。小田原城は難攻不落を謳われた名城だ。豊臣秀吉がほぼ天下を手中にし、最後まで意に従わなかった北条を責めたいわゆる小田原征伐では、北条氏政、氏直父子は豊臣方の大群と約3ヶ月にわたる籠城戦を戦った。最終的に北条方は、豊臣方の圧倒的な兵力と物資力に降参して開城するのだが、力攻めで落ちることはなかった。戦後、北条氏の領土は徳川家康に与えられ、小田原城は家康の腹心、大久保忠世に与えられた。以降明治維新まで、小田原城は大久保氏の居城だったのである。

天守閣を写真に撮りたかったのだが、いい場所が見つからなかった。残念だ。

小田原城を後にして、国道1号から国道135号に入って南下し、湯河原町を通過して静岡県に入る。GNで初の静岡入りだ。県境の標識を写真に撮りたかったのだが、見つけることができなかった。これまた、残念だ。

「お宮の松」の前にGNを停めて、本日2回目のトイレ休憩だ。有料駐車場のトイレで用を足し、俺はベンチに座って「寛一お宮」の銅像を眺め、缶コーヒーを飲みながら一服したのだ。

金色夜叉もそうだが、明治から大正にかけての小説の主人公は、書生とか学者とかが多いのは何故なんだろう。

道の駅「伊東マリンタウン」によってみた。すばらしいロケーションの大規模な道の駅だ。マリーナがあって遊覧船が運行してたり、ショッピングモールがあったりする。天然温泉のスパだってあるのだ。計画では、ここで昼飯たべようかなー、とか考えてたのだが、まだ9時45分だ。もうちょっと走ってから昼飯にしよう。

今度、ここには日帰りで来て、飯食って、温泉入ろう。

大分いい天気になって来た。熱川手前の駐車場にGNを停めて、熱川温泉のあたりの絶景を写真に撮った。伊豆はこんな景色が目白押しだ。これでもかっつう位、次から次へと目の前に絶景が現れる。俺は、その度にGNを停めて景色を鑑賞しちゃうので、進むのに、すごーく時間がかかっちゃったのであった。

熱川温泉から稲取を超え、「川津桜まつり」っていうのをやってて、渋滞したがすり抜けて進み、ようやっと下田市に突入。太陽が出てから、急に気温が上がってきたようだ。もはや全く寒さを感じない。

白浜海岸。
本州ではめずらしい位美しい砂浜だ。こうして写真で見ると、日本じゃないみたいだ。

下田の辺りから国道135号線は国道136号線になる。国道136号から県道16号に入れば、半島最南端、絶景の「石廊崎」に行けるのだが、今回はやめにして国道136号をそのまま走って山を越え、西伊豆を目指すことにする。「石廊崎」はこの次に伊豆をツーリングするときにとっとこう。

そろそろお昼だ。腹が減って来た。が、下田を過ぎてから食い物屋がない。下田で昼飯食っときゃよかったなー。と思いながら走ってたら、この先にある「びゃく」っていうお店の看板が目に入った。伊豆丼って書いてある。

看板から少し走ると、国道136号線沿いの右側に「御食事処びゃく」があったので、俺はGNを停めて店に入った。「伊豆丼」ってゆーのが気になってたので、頼もうかと思ったが、2,180円・・・・
「すみませーん、天ぷらそばくださーい。」せっかく伊豆なのに・・・・・

山を越え、妻良漁港のあたりで伊豆半島の西側に出て北上し、午後2時、出発から257km走って「雲見オートキャンプ場」に到着である。

「雲見オートキャンプ場」は海を見下ろす高台にあるキャンプ場で、バイク一台、大人一人で2,100円。高いけど、このロケーションと、露天風呂があることを思えば納得できるというものだ。受け付けで宿泊名簿に記入して料金を払うと、「Aサイトの空いてるところ、どこでも良いですよ。」と言う。Aサイトっていう場所に行ってみると、先客は車でキャンプしに来ているカップル一組だけだ。上の方にあるBサイトにも何組かキャンパーがいる。選びたい放題なので、俺は海の見える一角に、設営することに決めたのだった。

設営完了。
今回は、新たに購入したテーブルを使ってみる。さすがにコンテナボックスより、高さも面積もあって、使い易そうだ。
サイトには、一面に茶色い砂利がひいてある。砂利の下の土が固く、ぺグがささりにくかったが、俺は鉄のハンマーでどうにかぺグダウンした。よくテントに付属している、軽いハンマーではちょっときついだろう。俺は、こんな時のために、キャンプの時はいつも鉄のハンマーを持って行くようにしてるのだ。

俺は設営を終えてコーヒーを沸かし、西伊豆の海を眺めながら、まったりと一服したのだった。

露天風呂は5時かららしいので、設営を終えてのんびり一服し、あたりをちょっと散歩したら、やることがなくなって暇になってしまった。俺は夕食の準備をすることにした。

今日のディナーはポトフなので、準備と言っても簡単なものだ。家から持って来た、ジャガイモとニンジンを洗って、皮を剥く。ジャガイモ、ニンジン、キャベツ、玉ねぎを切り、ウィンナーと一緒に鍋に入れる。それだけだ。後は食べるときに、水とコンソメを入れて煮て、塩コショウで味を調える。ジャガイモやニンジンが、柔らかくなったら完成だ。

だんだん風が強くなってきた。5時まで、まだちょっと時間があるので、俺は一応テントの張り綱を張っておいた。サイトは海沿いの高台なので、突風が吹くかもしれないからだ。

午後5時になった。俺は早速管理等に行き、「お風呂、もう入ってもいいですか?」と確認した。キャンプ場のご主人が「どうぞ、お入り下さい。」と言うので、俺は小走りに露天風呂に向かったのである。ここのキャンプ場は、ご主人も奥さんも感じがいい。

脱衣場に入ると、目論見どおり一番だ。よっしゃー!
ここの露天風呂から見える景色は絶景だ。写真には写ってないが、湯船に浸かると、西伊豆の海越しに、富士山が見えるのだ。配置的には、女湯の方が景色が良さそうだ。

ここである疑念が俺の頭をよぎった。そもそもここは、ほんとに男湯か???
一番風呂を目指して、あせって脱衣所に飛び込んじゃったので、ちゃんと表示を確認したかどうか、自信がない。もし、ここが女湯で、女の人が入ってきちゃったら、俺はなんて言い訳すればいいんだ。ものすげードキドキしてきた。浴室から脱衣所に出て、タオルで前をかくしつつ恐る恐る、入口の扉を開けた。そして暖簾の表示を確認した。ふーっ。良かった。男湯だった。
俺は安心して、再び浴室に入った。そして絶景を眺めながら、ちょうどいい湯加減のお湯にじっくりと浸かったのだった。

風呂から上がって、管理棟の自販機でビールを買い、サイトに戻った。長湯したのでポカポカだ。隣のサイトには、アメリカン乗りのカップル(多分夫婦)が到着して、テントを設営している。タンデムのわりには凄い荷物だ。一体どうやったらバイク一台に二人乗りして、こんなに荷物を積めるのだろう。俺は「こんばんは。」と声を掛けたが、シカトされた。なんだよ。

辺りは既に暗くなって来ている。西伊豆の夕日が見たかったのだが、残念ながらこのサイトからは、山のかげになって見えなかった。俺はお気に入りのキャンドルランタンに火を入れた。そして、コンビニで買ったイワシの蒲焼をバーナーにかけて温め、つつきながらビールを飲んだ。暮れていく空に、星が瞬き始めている。

ビールを飲み終え、準備しておいたポトフの鍋に、水とコンソメのもとを入れて火にかけた。本格的に暗くなって来たので、ヘッドランプのスィッチを入れ、ジャッキーカルパスをつまみに、日本酒を飲みながらポトフができるのを待った。ニンジンやジャガイモが柔らかくなってきたので、塩コショウで味を調えて食べてみた。ポトフは簡単で、美味くて、体が温まるので、冬のキャンプには最高だ。

ふー。食った食った。一応オニギリも買って来たのだが、ポトフだけで満腹だ。俺はタバコに火を付け、カップの日本酒をもう一本開けた。そうだ。星だ!俺は思い出し、ヘッドランプのスイッチをオフにして、キャンドルランタンの炎を吹き消した。そして夜空を見上げた。
なんだ、この星の数は?!
ちかちかと明減している明るい星からまず目に入り、目を凝らすにつれてだんだんと、目に見える星の数が増えていった。俺は感動した。そしてちょっと涙ぐんだ。う、美しい・・・

だんだん寒くなって来た。気温は9度だが、風が体温を奪うのだ。俺は星空(降るような星空とは、こうゆうことを言うんだろう)を満喫して、午後8時頃テントに入り、1時間程読書をして寝たのである。

朝6時。携帯の目覚ましで目を覚ました。風が強かったので、眠れるかなと危惧したが、100円ショップで買った耳栓が威力を発揮した。テントで寝てると、風の音や、落ち葉が立てる音が気になるものだが、全く気にならずに熟睡することが出来た。テントのジッパーを開けてみると、外はうっすらと明るくなっている。俺はシュラフを抜け出して、テントの外に出た。他のキャンパーはまだ寝てるので、なるべく音を立てないように気をつけながらコーヒーを沸かした。そして朝の空気と絶景を楽しんだのである。

朝食は、昨日食べようと思っていたオニギリですませた。7時位になると、周りのキャンパーも起き出してきた。俺は炊事場で食器を洗い、キャンプ道具をそれぞれのスタッフバッグに収納して、放出品のダッフルバッグと、サティのワゴンセールで1,000円で買ったバッグに入れた。最後にテントをたたみ、テント用の収納袋は使わずに、無造作にまるめてダッフルバッグに押し込んだ。どうせ家に帰ってから干すので、きれいに畳んで、収納袋に入れてもしょうがない。

撤収を完了して一服し、8時頃サイトを後にした。管理棟の前のごみ捨て場で、ごみを分別して捨て、ご主人に「お世話様でした。」と挨拶して出発したのであった。

GNでキャンプ場の出口に向かっていると、海の向こうに富士山が見えた。ここの露天風呂で、湯船から見える景色はこんな景色だ。空気が澄んでるようで、昨日よりはるかに、富士山がきれいに見える。

キャンプ場を出発し、海沿いの国道136号を北上する。東伊豆の景色もすばらしかったが、西伊豆の景色はもうなんと形容していいのか分からない。写真は堂ヶ島だが、こんな景色が次から次へと現れる。

ゆるい下りの直線。道は先方で右にカーブしていて、左側は海。つまりそこでは、GNで走っている俺の真正面に駿河湾が横たわり、その向こうには霊峰富士が堂々と聳えている。そんな雄大な景色の場所があった。国道136号のどの辺りだったか、定かではないが、この光景は圧巻だった。俺は「西伊豆、すげーっ!!」とメットの中で叫びながら、国道136号を北上したのであった。

国道136号は土肥の辺りで海沿いを離れ、山道になって行く。法蔵院、修善寺を通過し、間違えて自動車専用の「修善寺道路」の料金所まで行ってしまった。俺は車が途切れるのを待ってUターンした。そして一般道路に入り直し、北上を続けたのである。修善寺道路の標識、分かりにくいよ!

国道136号の大場川南という交差点を右折して熱海函南線、通称熱函道に入る。行く手に見える山を超えると熱海で、そこは伊豆半島の東側だ。熱函道は交通量が少なく、道がいい。俺は快適に飛ばして距離をかせいだ。 山道を越えると、熱海梅園で梅祭りをやってて激しく渋滞した。道が狭くてすり抜けられないので、俺は大人しく渋滞のなかにならんで、海沿いの国道135号に出たのだった。国道135号の反対車線は、熱海に向かう車で混雑していたが、こちら側の車線は空いてるので快適に走ることができた。反対車線には、渋滞にはまっているバイクグループがいっぱいいた。

小田原で国道135号から国道1号に入ってしばらく走り、平塚の辺りの榎町という交差点を左折して国道129号で厚木方面に走る。厚木を超えてそのまま国道246号に入って順調に走った。多摩川を越えて東京に入り、都心には入らずに環七を左折した。

午後2時30分。キャンプ場を出発してから、226km走って無事に足立区の我が家に帰還したのであった。

GNで始めて静岡県に入り、初めて伊豆をツーリングした訳だが、頑張って西伊豆まで行ってみて良かった。西伊豆の国道136号は海あり山あり、しかも絶景に次ぐ絶景で、走ってて飽きる暇がない。伊豆半島が、ツーリングのメッカになっているのも納得だ。真夏に是非、また行きたい。


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