2006年12月30日
朝飯、朝風呂、冬の保田漁港

目的地 保田漁協直営「お食事処 ばんや」
ルート 行き : 環七 → r60 → R14 → R357 → R16 → R127
帰り : R127 → R16 → R357 環七
走行距離 251km

2006年もあと2日で終わり、新しい年が始まろうとしている。今年も色々なことが起きたが、GNを買ってホント良かったなーなんて、あらためて思うのである。5月に込み込み20万円で購入して早7ヶ月経つ訳だが、その間に計13回のツーリングを行い、関東、甲信越、福島県、いろんな所に出掛けた。キャンプしたり、温泉に入ったり、海水浴したり。いやー楽しい一年だった。

大掃除と、買い物は31日にやることにして、30日はツーリングに行く許可をかみさんにもらってある。目的地も決定済みだ。南房総の保田に漁協直営の「ばんや」っていう食事処があり、日帰り温泉施設も併設されている。朝風呂に入って美味い寿司を食い、冬の漁港を見ながらぼんやりと一服するのだ。今年最後のツーリングは、冬の漁港を見に行こうと決めてあったのだ。


4時40分に出発して環七から奥戸街道を左折し、そのまま国道14号に合流する。十分暖かい服装をしてきたつもりだが、ちょっとやばい。死むかもしれない位さぶい。これまでもツーリングで寒い思いはして来たし、天気予報で今日から冷え込みが厳しくなることは分かっていた。しかし、こんなに寒いとは。これが冬のツーリングってものなのか?そうなのか?頑張って一時間程走ったが、もうどうにも我慢できない。熱いコーヒーでも飲んでちょっと暖まろうと思い、俺は幕張の辺りでデニーズに飛び込んだのである。

店の入口を入って行くと、「いらっしゃいませー。デニーズへようこそ。何名様ですか?」そう言いながらウェイトレスが近づいて来た。そして俺の顔を見てビクッとしたように立ち止まった。なんか失敬だ。「ひほい」俺は答えた。一人と言いたかったのだが、ほっぺが凍ったようになっててうまくしゃべれない。「禁煙席と喫煙席、どちらになさいますか...」なんか恐々質問する。「ひふえん(喫煙)」俺は答えた。ウェイトレスは「は?」と言って一歩後ろに下がった。「ひ・ふ・え・ん」俺はもう一度答えた。「は、はい。こちらへどうぞ...」。今度はどうにか通じたようだ。それにしてもなんか気分が悪い。

案内された席についてホーヒー(コーヒー)を注文し、とりあえずトイレに入った。用を足して手を洗いながら鏡を見た。「ひっ!」俺は驚いた。同時に全てを理解した。多分寒さのせいだろう。顔色がまだらになってて、激しく気持ち悪い。夜明け前にこんなまだら顔の男が入って来て、「ひほい」とか、「ひふえん」とか言ってたら、そりゃ怖いに違いない。

時間を掛けてコーヒーを飲んで暖まり、どうにかほっぺや指先が解凍されてきた。俺は気合を入れて席を立ち、心の中で「怖がらせてごめんね」とウェイトレスに謝りながらお会計を済ませてデニーズを後にしたのである。

ファミリーレストランで熱いコーヒーを飲み、冷凍まだら男からどうにか人間らしくなったのも束の間、30分も走るとまた耐えがたい寒さが襲ってきた。そして冬にツーリングするライダーが多分一度は考える疑問が頭をよぎった。「いったいなんの為に俺はこんな寒い思いをしてるんだ?」さらに、もっと酷い考えが浮かんだ。「帰りてーな。こたつに入ってみかんでも食べながら、年末のバラエティー番組でも見るかなー?」

しかーし!冷酷な闇と凶暴な冷気を引き裂いて、神々しく、優しく美しく、12月の太陽が東の空に輝き始めた。西暦2006年、平成18年最後から2番目の日の出だ。今年の最終ツーリングを飾るにふさわしい、美しい日の出だ!ブラボーッ!!

急に気温が上昇した訳でもないのだが、なにやら心の中がポカポカして来た。あと数十キロ走れば風呂にも入れるし、なんか元気が出てきた。よーし行くぞ!GN!!一度は真剣に撤退も考えたが、こうして今年最後の Weekend Wanderer はピンチを脱したのであった。

内房線と並走する国道127号泉沿いにGNを停めて一服してたら、たまたま電車が通ったので写真を撮ってみた。この写真は結構気にいった。

トイレ休憩をかねて、今年の夏に行った鋸南町の元名海岸に寄ってみた。前回ここに来たのはGNで3回目のツーリングの時だ。真夏だった。マイナーな海水浴場とは言え、あの時は結構人がいたが、今日はだーれもいない。

澄んだ空気の中、一片の雲もない空と穏やかな海。遠くの方に停泊している貨物船がぽつんとおとなしい。見渡す限り、波打ち際の小さな白波と俺以外何も動かない。こんな情景に出会ったとき、もっと俺に写真のセンスがあればなーと思うのである。

そんなこんなで、8時30分。出発から122km走って「ばんやの湯」に到着だ。日が昇ってから元気が出たとは言え、寒かったーっ。さ、風呂だ風呂だ。風呂入ろーっ!
「ばんやの湯」は保田漁港直営のお食事処「ばんや」と併設される、24時間営業の日帰り入浴施設だ。大人一人500円で利用出来る。俺は受付で500円払い、小走りに脱衣所に向かったのである。早く湯に浸かりたい。

シャワーで掛け湯をし、早速湯に浸かる。あつつつ。手足の指先が冷え切ってしびれてるので痛い。が、全身湯に浸かって一息ついてみると、結構ぬるめの湯だ。慣れてくると、ぬるめの湯が物足りなくなってきた。小さい方の浴槽に浸かってみたら、こっちは熱めだ。俺は大きい浴槽と小さい浴槽に交互に入り、時間を掛けて失われた血行を取り戻したのである。

「ばんやの湯」のお湯は、高濃度の人工炭酸泉だ。天然温泉かと思っていたが、違うらしい。本来、天然の炭酸泉は硬水1kgの中に遊離炭酸(Co2)を2000mg以上有し、固形成分が1000mgに満たないものを言う(日本温泉法)らしいが、ここのお湯は人工的に同等の効果を作り出していて、高血圧、心臓病、血行不良による皮膚疾患、冷え性、肩こり、腰痛、リウマチに効くらしい。なにしろ血行が良くなるそうだ。小さい方の浴槽の湯は、タラソテラピー効果、アルゴテラピー効果がある、「かじめ風呂」と言うらしい。どんな効果か分からないがとにかく、そんな効果があるのだ。

あー、いい湯だった。一息ついたら腹が減って来た。となりのお食事処「ばんや」で朝飯を食うつもりだったのだが、ここでも同じものが食べられるらしい。俺は「ばんやの湯」の食堂に行き、港の見える窓際の席に座り、噂の「朝取れ寿司」を注文した。寿司は9時30分からなのでちょっと時間がかかると言われたが、もう9時20分だしせっかくだから王道を行きたい。俺はセルフサービスのお茶を飲みながら一服して待ったのだった。

待つこと20分、「朝取れ寿司」が運ばれてきた。ねたは全て保田漁港に朝上がったものらしい。味噌汁付きで850円だ。さっそく食べて見る。
・・・・・・・・・・・・・!俺は大体、何を食べても美味いと感じてしまうので、過去ツーリングレポートの中で食べたものはみんな美味いと書いてる。ここで何を書いても説得力がないかも知れない。だから今回は何も書くまい。ただ、一度食べてみれば、わざわざフェリーに乗って食べに来る人がいるのも納得できるはずだ。

朝風呂、朝飯を終えて表に出てみると、大分気温が上がってて寒くない。俺はバイクを漁港の方に移動した。エンジンを停止して地べたに座り、冬の漁港をのんびりと眺めながら一服したのである。

港を後にして、すぐの所にある保田第一海水浴場に寄って見た。ここで2006年のラストツーリングの記念撮影だ。カッコつけてGNに寄りかかってるが、体重かけたら倒れそうなので寄りかかってるふりをしているだけだ。本当は右足がプルプルしてるのだ。

帰りは国道127号、国道16号、国道357号を走り次ぎ、国道14号は使わずに国道357号(湾岸道路)をそのまま走った。道が空いてて超スムーズに進む。国道357号の側道から環七を右折したところで缶コーヒーを飲みながら一服し、環七も一気に走って13時20分、無事帰宅したのであった。


寒い故に朝風呂の幸福感をひとしお味わい、噂以上においしい「ばんや」の寿司を食し、文句なしの冬晴れの中、のんびりと漁港の景色を楽しんだ。2006年締めのツーリングとして大満足だ。楽しかった。そして来年も、The Poor なウィークエンドワンダラーは荒野を目指すのであった。


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